2019年

1月

18日

ヨコジュン先生の思い出

SF作家で明治文化史研究の第一人者、横田順彌氏の訃報が去る16日報じられた。

Twitterで第一報が出たのは15日で、亡くなられたのは1月4日とのこと。

死因は心不全。享年73。以下、「ヨコジュン先生」と表記する。

 

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ヨコジュン先生は、私の人生の分岐点にたびたび登場する作家さんだった。

 

最初に触れたヨコジュン先生の作品は、集英社文庫『ユーモアSF傑作選』(豊田有恒氏編、1977年刊)に収録された『脱線〈たいむ・ましん〉奇譚』だった。
高校に進学した当時の私は、マンガは読んでいたものの活字がまったく受け付けず、自己革新しようと手を出したのが、当時ブームだったSFショートショート。短いのから少しずつ慣れていこうと考えた。

最初に手を出したのは忘れもしない筒井康隆氏の『あるいは酒でいっぱいの海』(集英社文庫)。理由はとにかく薄かったから。次がご多聞に漏れず星新一氏の『ボッコちゃん』を始めとする新潮文庫シリーズで、これは読み漁った。そしてその次が『ユーモア~』だったと思う。今も手元にあるが、文末の解説が落丁でブッツリ途中で切れている。

 

それはさておき、この『脱線〈たいむ・ましん〉奇譚』を読んで、小説で初めて爆笑を体験したのは大きかった。読書歴の浅い私には、かなり刺激が強かった。落研OB(法大)ならではのテンポとリズム、速射砲のようなギャグの情報量。そして何より、理に落ちないバカバカしさ。ギャグ好きの私にはこりゃたまらん。

その感動が消えない数週間後に、書店で見つけたのが『ヨコジュンの宇宙寄席』(双葉社、1980年刊)。副題が「ハチャハチャSFあんそろじい」とあり、こちらはSFマンガも収録されていた。当時から大好きだったいしいひさいち先生や吾妻ひでお先生も掲載されていたので、こちらはさらにバカはまり。私のアンソロジー好きはこの本がキッカケかもしれん。

さらにさらに、翌月、同じ双葉社から『ヨコジュンのびっくりハウス』という本も出た。こちらはSF作家としての諸々書き物を集めたコラム集だったけど、作者名とタイトルだけで即買い。ちなみに当時の雑誌「ビックリハウス」とは無関係。

その後も短編・中編小説集を見つけるたびに購入する日々が20歳頃まで続く。大学の先輩に紹介されて、名古屋のヨコジュン先生のファンクラブにも一時期在籍したりした。

 

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上京して漫画の道に進み、しばらく疎遠になったあと、次に書店でヨコジュン先生の本を手にしたのが1995年(本の奥付参照)。神保町の書泉グランデで『明治不可思議堂』(筑摩書房)を見つけた時だった。
この当時はちょうど、仕事していた雑誌が立て続けに休刊して、何か違うジャンルの勉強をしなきゃ…と思っていた頃。当時から落語は好きだったし、相撲の歴史も基礎知識ぐらいはあったので、数々の明治文化のエピソードが抵抗なく吸収できて、この本一冊で明治の文化風俗の虜になった。この本をキッカケに、あらゆる明治文化史本を片っ端から読んだ。

この時期はヨコジュン先生の明治文化史本も立て続けに刊行されていて、一時は10冊以上の明治関連の著書がウチの書棚に並んでいたはず。

 

また同じ頃、プロ野球関係の資料や古雑誌収集もしていた。これはヨコジュン先生の著書『探書記』(本の雑誌社、1992年刊)による影響が大きい。古書収集の心得的な項目があったのだ。この頃はマスコミにも「古書ブーム」の流れがあった覚えがある。

ただ一方で、古書集めほどお金のかかる道楽は無い。結局、私のようなニワカ古書マニアが長く続くはずもなく、大半の本はその後手放してしまった。それでも残った一部の明治文化史資料は、現在でも落語漫画を描く際に開いている。

 

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かように一方的憧れを感じつつ過ごした読者としての数十年だったが、ほんの一時期、同じ雑誌で連載させて頂いたこともあった。

1997年頃だったかな、桃園書房の「小説CLUB」という月刊誌で野球コラムを担当していた頃に、ヨコジュン先生の明治文献検証のコラムが始まったことがあったのだ。あまりの嬉しさに思わずイラストスペース使って「ヨコジュン先生~!」ってラブコールしちゃった。その後、雑誌の休刊と共にこちらも終焉することになる。

そういえば先生も中日ドラゴンズファンだったんだよねぇ。そちらの接点は残念ながら無いままであった。

 

 

2001年に書き下ろされた『ヨコジュンのハチャハチャ青春記』(東京書籍)の購入をラストに、その後は度重なる引っ越しもあって、タケノコの皮を剥くかのように少しずつ先生の著書を減らさざるを得なかったのだけど、それでもまだ現在これだけの本は残してある。

1月6日スタートしたNHK大河ドラマ『いだてん』に押川春浪が登場した時は「しまった!」と思った。2冊出ている先生の押川本と、天狗倶楽部が活躍するであろう明治野球本は、いずれも手放してしまったからだ。

『いだてん』の第1話、先生はご覧になれなかったんだなぁ…。

 

ヨコジュン先生、若い頃大いに笑わせて頂き、また長きに渡って勉強させて頂き、本当にありがとうございました。(合掌)

2018年

12月

21日

黙祷2018

昨年末~今年に惜しくも彼岸に発たれた、私の好きな業界の方々を追悼します。

今年は例年に増して残念なニュースの多い年で、心ならずも相当数絞りました。「Twitterで自分なりの追悼メッセージを140字書ける人」という自己基準によります。

敬称につきましては、今年から女性も「氏」にします。寄席芸人の方は「師」または「先生」、漫画家は「先生」、アナウンサーは「アナ」です。

情報は「没年月日(命日)データベース」を中心に、それ以外のサイトも参考にしました。

 

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●真屋順子氏(12月28日、1月4日判明)

 

●星野仙一氏(1月4日)

●柳家小蝠師(1月12日)

●古今亭志ん駒師(1月18日)

●一陽斎蝶一先生(1月24日)

●有賀さつきアナ(1月30日)

●桂 福車師(2月1日)

●レツゴー長作氏(2月1日)

●翠みち代氏(2月11日)

●露の慎悟師(2月21日)

●大杉 漣氏(2月21日)

●左とん平氏(2月24日)

●林家ライス先生(2月24日)

●立川左談次師(3月19日)

●月亭可朝師(3月28日)

●都家歌六師(3月31日)

 

●柴尾英令氏(4月2日)

●高畑 勲氏(4月5日)

●衣笠祥雄氏(4月23日)

●朝丘雪路氏(4月27日)

●三浦哲郎氏(4月28日、名古屋グランパス元監督)

●井上堯之氏(5月2日)

●西城秀樹氏(5月16日)

●いか八朗氏(5月28日)

●パンチョ加賀美氏(5月29日)

●加藤 剛氏(6月18日)

 

●桂 歌丸師(7月2日)

●浅利慶太氏(7月13日)

●生田悦子氏(7月15日)

●常田富士夫氏(7月18日)

●タイヘイ夢路師(7月31日)

●津川雅彦氏(8月4日)

●菅井きん氏(8月10日)

●布勢博一氏(8月13日、脚本家)

●麻生美代子氏(8月25日)

●ひびきわたる先生(9月10日)

●樹木希林氏(9月15日)

●岡本修一氏(9月27日、青蛙房社長)

 

●三遊亭小金馬師(10月1日)

●輪島大士氏(10月8日)

●浅井良二氏(10月9日、浅井企画社長)

●田中信夫氏(10月17日)

●三笑亭笑三師(10月24日)

●森田雄三氏(10月29日、イッセー尾形舞台演出家)

●銅谷志朗アナ(10月29日)

●深山 計アナ(11月1日)

●久米一正氏(11月23日、名古屋グランパス元GМ)

●三遊亭小円朝師(12月15日)

 

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今年は漫画の世界で、各ジャンルの第一線で活躍した諸兄諸姉が旅立たれました。

狩撫麻礼先生(1月7日)、草原タカオ先生(2月13日)、古賀新一先生(3月1日)、黒岩よしひろ先生(5月8日)、土山しげる先生(5月24日)、美村あきの先生(7月30日)、さくらももこ先生(8月15日)、国友やすゆき先生(9月20日)、あさぎり夕先生(10月27日)、水野良太郎先生(10月30日)、長谷邦夫先生(11月25日)…

これでも一部で、私よりずっと若い作家さんの訃報も何度か見かけました。

 

 (12月28日追記)

  Twitterの情報では、さらに石川球太先生が10月15日に他界されたとのこと。

  こういう追記をするのは大変残念です。

 (同日追記)

  そして声優の藤田淑子氏も28日夜に訃報が…

  今年は本当に惜しい方が大勢いなくなってしまいました。

 

他ジャンルの著名な方々も多数亡くなられていますが、「笑い」を本旨とする当ブログの意図から外れますので、ここでは挙げません。

さらにもうお一人。12月初旬に池袋演芸場の元支配人・新藤さんの訃報をTwitterで知りました。新藤さんには日本落画家協会の落画展示(2012~13年)の際、大変よくしていただきました。どうもありがとうございました。

 

謹んで故人の御冥福を。

どうか来年は、嫌なことの少ない、毎日笑える年でありますように。

2018年

12月

20日

本館閉館とタイトル変更のお知らせ

いきなりタイトルが変わって驚かれたかもしれませんが、以前お知らせしたように、12月20日をもって私のサイト「なかむら記念館」は閉館させていただきました。予告より若干早くなりましたが。
1999年7の月というとても意味深な時期に開設し、以降19年余の間、出版系自由業者の個人サイトとしてお仕事情報など発信したり、掲示板があった時代は無駄話に花を咲かせたりと、ずっと「お父さんの日曜大工」レベルのパソコン技術でそれなりに楽しませて頂きました。
皆様の長年のご愛顧に深く感謝いたします。
そんなわけで、個人サイトとしての機能をそのままこちらに移行します。
それに先駆け、タイトルも「ギャグ屋のきこんかい帖・でらックス」という知らない人には伝わらないネーミングから「なかむら記念館 新館」という旧サイトと変わり映えしない名前に変更した次第です。
なお「落語別館」の方は引き続き変更せず続けてまいります。
新しい「なかむら記念館 新館」共々、引き続きよろしくお願いいたします。

2018年

11月

05日

「第6回 寄席描き展」のお知らせ

今年も「寄席描き展」の季節が近づいてまいりました。


開催期日は11/18(日)~12/2(日)の2週間。会場はお馴染みとなりました、江東区・森下文化センター(11/19のみ休館)。


来年のNHK大河ドラマに先駆けた古今亭志ん生トリビュートが今年のテーマ。
真打昇進して間も無い古今亭駒治師匠が出演する11/24の「あさり寄席」や恒例「イラスト大喜利」などなど、開催期間中はイベント・展示が盛りだくさんですよ。


詳しくは「寄席描き展」のFacebookページの方でご確認ください。

私は今回もお休みさせて頂きますけど、会のご成功を遠く愛知の地よりお祈りしておりますよ。

 

2018年

10月

17日

「なかむら記念館」閉鎖計画

個人サイト「なかむら記念館」を開設して、来年の7月で丸20年。

当初はジオシティーズを利用しておりましたが、先日そのジオシティーズもホームページサービスの終了を発表してしまいました。

だからというわけではございませんが、当「なかむら記念館」も現在、もろもろ老朽化を理由に閉鎖を考えております。少なくとも来年中には。

 

現在は更新のたびにコンテンツを減らしていってて、先ほどは自己紹介ページ全仕事一覧ページをこちらの「ギャグ屋のきこんかい帖・でらックス」に移設しました。

他にも、落画協用に描き溜めた似顔絵や4コママンガ等、更新したいデータがいっぱい残ってます。

 

「落語別館」の方は文字量が多くて移設は手間がかかりそうなのでしばらく見合わせますが、とりあえずこういった形の個人サイトはぼちぼちお役御免かなー、という気もします。実際、今回記事を移してみて実感したことでもあります。
そんなわけで、まもなく「ギャグ屋のきこんかい帖・でらックス」が私の本サイトになるわけですけど、そーなるとちょっとタイトルの変更を考えないとなー。
「なかむら記念館 新館」あたりが無難かな。もしくは「なかむらネオパレス」とか。うそ。来年までに考えときます。

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