謝罪にまつわるエトセトラ

昨日7日、ユナイテッドシネマ稲沢で『謝罪の王様』(監督・水田伸生)を観覧。


率直に思いついた感想は、「クドカン脚本の長尺コント」。
近年は松本人志監督に代表されるように、本来ならTV向けの企画が予算の事情でかなわなくて、ならばスクリーンで……と映画化(のちソフト化)される例が多くて、そのセンをまず連想しました。
映画的に箔をつける役者陣と、オムニバス形式で、厚みのある仕様と時間にはなってるのだけど、なんか私の中では、「あーっいい映画観たーっ」ていう上映後の充足感がなく、「長いけど面白いコント観たー」っていう……この微妙な気持ちの差、伝わりますかしらん。
あっあれだ、昔松本人志監督のビデオ『VISUALBUM』見た後、こんな気持ちになったっけ。
また伝わんないこと書いてるなー。むー。


もっとも本編の中で「あっ、これは映画的にスゴい!」と感動したシーンもあって、マンタン王国っていう架空の国が登場するのですが、この風景がものすごいです。
これが日本か!?って絶対思います。民族衣装とか含めて、このシーンは必見。


水田監督は今回、脚本のクドカン氏に「風刺喜劇をやろう」と持ちかけたそうで、パンフレットでも、経緯やら深層テーマやらと合わせて触れているのですが、時事をネタに扱う際の一番の難しさである「一つの事象には百人百様の感想がある」という観点から、この映画の評価は二分するんじゃないかなぁ……というのが、私のもう一つの感想。


例えば、この映画の公開前後に「謝罪を強制する一般人」がニュースで話題になっていて、それを踏まえて観るか観ないかで、映画を観終わった後の感想が変わる人もいるはず。
(私が上で、ごく平易な、時事とは関係ない感想を述べるに留めたのもそのため)
もちろん撮影時にはそんな余計な色眼鏡を計算に入れているはずもなく、製作サイドはきっと「うっさいよ!どーでもいーよ!」と思われるかもしれません。
しかし観客は、そのへん丸々ひっくるめて語ります。「百人百様の感想」×「観るタイミング&周辺事情」で、感想はより多様化するという、風刺コメディにとっては厄介な時代なのです。2013年って。


もうひとつ、これは私事なんでコッソリ書きます。
自分もつい最近、謝罪の言葉にまつわるネットコラムを書かせていただく機会をもらったばかりで、ちょっと謝罪の言葉の言い回しに敏感になっている向きがございまして。あまり細かく書くとやっぱり映画本編に抵触しちゃうので具体的には申しません。よろしければ、映画館で『謝罪の王様』をご覧になった後にでも、読んでやってくださいまし。こちらです
(フレッシャーズ マイナビスチューデント 9月28日付)。テーマ先行で発注のあったお題頂戴記事です。自分主導で書いた記事じゃないのでイバリません。ご了承のほど。