期せずして風刺

今週火曜発売の『昭和の爆笑喜劇』最新号、『クレージーだよ奇想天外』(1966年公開)を観て、あまりに2014年コンニチタダイマとリンクしているので、大いに驚いた。


当時はまだまだ映画はじめエンタメ媒体で社会風刺が盛んで、『~奇想天外』自体も当時の時代を的確に風刺した内容なのだけど、まさか坪島孝監督も製作中は50年後の社会にリンクするとは思わなかったことだろう。


遊星アルファのできそこない宇宙人・M7(谷啓)が長官(植木等)の命を受けて地球に来訪。日本の一企業マンとして働くものの、地球のことを知らないがゆえに発する「無知」な発言がズバズバ真理をつく。これがとてもよい社会風刺になっている。

徐々に地球人(とゆーか日本人)の影響を帯びて俗っぽくなっていくのも面白い。


もうひとつ、後半の国会審議シーンで植木等(長官とは別の二役)が登場して、谷啓とは別の意味の「無知」を武器に大暴れして洗いざらい全部持っていく。これがすごく痛快。
もっともこちらの手法は現在禁じ手になっている方法なんですがね。それだけ半世紀前のコメディでは常套的手法だったわけです。海外の映画やアニメを含めて。


『~奇想天外』は風刺以外にも見所が満載で、個人的には今まで発売された『昭和の爆笑喜劇』シリーズの中でいっちゃん好きかも。
特に劇中歌、谷の『虹を渡って来た男』『イヤダイヤダと云ったのに』や植木の『文句節』、内田裕也の『俺のハートは3333万3330℃』などすべて名曲揃いでビックリ度倍増。
その割に『イヤダ~』と『文句節』はコミソンCDにほとんど収録されていなくて、辛うじて『クレイジー・ムービーズ VOL.2』(EMI、2005年)で発見できたくらい。『VOL.1』含めてうっかりスルーしてたこのシリーズ、ぜひ取り寄せねば。


すでに何百万人も観た映画の感想を今さらシカツメらしく書くのはだいぶバカっぽいので、この記事をアップしようか迷いましたが、まぁ本旨が冒頭の部分なのでご勘弁を。
今のきな臭い世相が息苦しい人にオススメです。溜飲下がりまくるでホンマ。