私設「わろてんか」反省会

NHKの朝ドラ『わろてんか』の評判が、Twitterを見る限り大変よろしくない。

吉本興業の創業者・吉本せいがモデルということで、私もそれなりに期待していたのだけど、第1週目から「ん?」「おや?」「あれれれ?」というシーンが続き、第6週目が終わって私の中で結論が出た。

その私の気持ちの揺れ動きを、Twitterのツイートで追ってみた。

 

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【10月1日】

明日からの「わろてんか」にお付き合いするか、まだ迷ってる。

もっとも昔みたいに朝9時台まで寝てるなんてことは無くなったし、たぶん見ちゃうんだろーけど。落語家さんが登場したら「わろ絵」描きましょかね。そん時は落画家協会の皆さんぜひご一緒に。

 

【10月2日】

「わろてんか」第1話よかった。別にマニア寄りにならなくていいんで、ずっと笑いの周辺でドラマ展開してほしーなー。

(まだ好意的。初回は桂南光師か出たり、大道芸とかもちらっと登場して普通に楽しかった。ただ、神社の掛け小屋に観客が仕切られたみたいにきっちり整然と並んで座ってるのは気色悪かった。演出家が寄席しか行ったことないんだろうなーと、この時点では思った)

 

【10月10日】

三曲万歳もっと見たかった

 

【10月12日】

わろてんか、今のところ自分が食いついたのが掛け小屋と小野アナのナレーションだけで、ちょいと心が離れつつあります。今月一杯見て他の食いつき所が見つからなかったらやめるかも。

(このころ、タイムライン上に続々と脱落宣言が出始めてた)

 

【10月14日】

えー、キースってのちのちエンタツになるんだ。けっこうネタバレ発言。

#バナナゼロミュージック

てことは、無筆のリリコはミスワカナか。なんだ、俄然この先の展開に興味が出てきたぞ。

(この日の『バナナゼロミュージック』にゲスト出演したキース役の大野拓朗が、「このあと時代を変える漫才師になる」と自ら発言していた)

 

【10月15日】

あれ、リリコ字が読めないのに義太夫本めくってたな。

(最初に気付いた脚本の破綻)

 

【10月20日】

なんで高座のシーンはいつもあんなに遠くて短いんだろ。笑うことが好きになる人のドラマなら、どんな舞台を見て好きになったかをたっぷり見せて、視聴者にも感覚を共有させてほしいなぁ。今のところ駅でいちゃついてるカップルのやりとりと同じものしか見せられてないのでして。

たぶん作ってる人が、人間ドラマが大好きで、笑いにはさほど興味無いんだと思う。最初の3週での感触。

(そろそろ我慢の限界だった)

 

【10月21日】

おはよーございます。うーん、これから朝は当分録画でいいかな。次週の予告を見ての判断。寄席経営が始まったら戻ってきます。

明治の商家で番頭の出シロが女中以下だったのと、旅一座で座長が登場すらしなかったのが、どうにも残念。この二つの役どころ、演出と脚本次第では格好の回し役になるのに。離脱の理由は他にもあるけど、全部書いたら朝に戻ってこれなくなりそうなのでいずれまた。

(ここで朝放送を離れて、昼の再放送を見始めるようになる)

 

【10月24日】

「わろてんか」がどんどん「花嫁のれん」みたいになってきた

 

【10月27日】

うわー、当初1ヵ月だけ見て様子見るつもりだったけど、今週がトドメになっちゃいそうだなぁ。食いつく要素がどこにもない。とりあえず寄席経営がはじまったらおせーてください。

(ここで一旦見るのをやめた。なので、前半唯一の好シーンといわれた鈴木京香と鈴木保奈美の対決シーンを私は見ていない。この数日後、関東ローカルのニュースアナが朝ドラ前のニュースで「イライラすることが多い『わろてんか』」と発言してTwitterで話題になった)

 

【11月4日】

「わろてんか」は昔やってたアメリカのシットコム「アーノルド坊やは人気者」とストーリーの進み方が近い、って話を書こうと思ったけど、「アーノルド」は関東で放送してなかったのね。

一言でまとめちゃうと、ひたすら事件を起こし続けて回収しない演繹的な展開がアメリカコメディ風なのです。ただ来週の予告だけ見たら寄席経営が始まるみたいで、来週からはまた朝わろ見ようと思ってます。内場さんも出るみたいだし。

(脚本の整合性の無さがTwitterで連日のように指摘された)

 

【11月6日】

寄席経営が始まるので今日から朝わろ復帰。岡大介さんが出るっていうんでてっきりカンカラ三味線のかたかと思ったら、同姓同名の役者さんだった。

 

【同日】

米朝師匠の落語をクスグリに使てるんなら、せめて寄席演芸まわりの時代考証はちゃんとしましょな。上方芸能研究の権威やった米朝師匠が極楽で頭抱えてまっせ。往生しまっせ、ちゅうて。

あ、今日11/6は米朝師匠の誕生日か。この日に書き込むのも何かのご縁。

(当初から散見した上方落語のネタのはさみこみも、寄席経営が始まるにあたってさすがにスルーしきれなくなってきた)

 

【11月7日】

おはよーございます。とりあえず「わろてんか」は有働さんとイノッチを笑わせてみよう。

(後番組『あさイチ』の名物、有働アナとイノッチの「受け」が次第に希薄になってきた)

 

【11月9日】

月曜日(11月6日)にBS-TBSでやってた「にっぽん!歴史鑑定」の吉本せい一代記で、「わろてんか」の脚本が『吉本八十年の歩み』に基づいて進行してるのがわかった。1年前のオリコン記事で、戦後まで描くこともわかった。

https://www.oricon.co.jp/news/2081223/ 

あとは強い期待をせず、のんびり見てまいります。

 

【11月11日】

朝見そびれて、昼わろ見てました。社史に基づいた再現ドラマ的進行なのが判ったので、今後ここではストーリーには触れず端々だけつっつきます。来週から笹野高史さん出ますね。

 

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お話的には開始6週でついに寄席経営開始までたどり着いたのだけど、人物描写が巧みだった『ひよっこ』の後であることを差し引いても、あまりにもストーリーが「進行ありき」で登場人物の性格描写や発言ほったらかしすぎて、登場人物に対する共感も同情もできない。
なんでこんなにキャラクターの掘り下げをしないんだろう?と不思議に思っていた所へBS-TBSの番組があって、「なるほど、(細部は変えてるけど実質的に)再現ドラマなら仕方ないか」と合点がいったというか、私の中で諦めがついた次第。

 

これはTwitterでは言ってなかったけど、ドラマ開始前、「大正時代が舞台なのに、寄席で客イジリとか、昭和の笑いをされたら嫌だなー」と内心思っていた。
ところが、ドラマが始まってみると、ここまで舞台のシーンがなぜかほとんど無い。たまに「芸」と称して見せられるのは、すべて素人の一発芸レベル。客イジリどころではない、想像のはるか頭上を越えた。そしてこのドラマのスタッフは笑いに興味のキの字も無いんだなーと悟った。
今まで落語映画やドラマを見た時もそうしていたように、あまりマニアックなことは言うまいと思ってたけど、それにしても時代に則した笑いの質に対する無理解がひどい。当時の芸といったらまず踊りでしょ。ドラマが始まって芸人が誰一人踊らない。楽器は三曲万歳がほんの5秒程度。そもそもまともな芸のシーンがここ数週間皆無なのはどういうわけだろう。避けてるのか、とすら思う。明らかに制作サイドの知識不足で、ここまでくるともはやイライラは通り越して傍観を決め込むか、見るのをやめるしかない。

あとドラマ開始前からの不安はもう一つある。戦争の時代をどう描くか。吉本の慰問団「わらわし隊」はどう描かれるんだろう。そう思っていたが、これも既に諦めた。せいぜい局に抗議が来ないよう、不用意にニコニコするのはよした方がよいと思う。

 

ライフワークの「落語芸能人リスト」作成があるので今後も見るとはいえ、残り4ヵ月半、何の思い入れもできないストーリーと共に、長ぁぁーい再現ドラマに付き合わなきゃならんのは正直ダレるのである。せめてギミックだけでも面白ければそちらを楽しめるのだけどなぁ。
あっそーだ、毎回吉本新喜劇の役者さんを交代交代で出演させません?