「ギャラ兄引退」報道(21日加筆)

※イラストは「ひな壇芸人のトーク術」(こう書房)より

雨上がり決死隊の宮迫博之さんが、今月19日付で所属する吉本興業との契約を解消された。

これは実質的「引退」報道。

これだけSNSが盛んになると、もうあらかたの意見は出尽くしていて、新鮮な感想は書けないので、こういう時は自分の思い出話に終始する。

 

雨上がり決死隊の宮迫・蛍原コンビを知ったのは1990年代の吉本天然素材の頃で、売れたのはナインティナインが最初だったけど、実質的リーダーは雨上がり宮迫さんだったと聞く。

もっともこの当時は東京にいて、ネットも無かったので関西の情報はかなり疎い。なんなら雑誌とムックくらいのもの。プラス深夜TVとラジオ程度。なので、てんそ時代の雨上がりはTVで数回しか見てなくて、気がついたらてんそからもいなくなっていた。この頃に上京したらしい。

 

TBSラジオのJUNK「雨上がり決死隊のべしゃりブリンッ!」を聴き始めたのは、たしか2005年頃だったか。このラジオで二人の持ち味を初めて認識したと思う。コーナー投稿も面白かったなぁ。今回の報道で、宮迫さんが「ギャラ兄(ギャラクシー兄さん)」、蛍原さんが「ノン兄(ノンシュガー兄さん)」との愛称で呼ばれていたのを久々にネットで見て、なんだかすごく懐かしかった。その他、今の桂三度さんが構成作家・渡辺鐘として参加していて、出演途中に「世界のナベアツ」としてみるみるブレイクしてゆく様も聞くことができた。

 

TV初の冠番組『アメトーーク(当初はアメトーク)』を見始めたのはこのラジオのリスナーになってからの流れだったので、当初の普通のトーク番組時代は知らないし、別番組で誕生して『ムーンライト』のスマッシュヒットを飛ばしたユニット「くず」も当然知らない(『ムーンライト』は友人とのカラオケで最初に知った)。

そんな具合で、雨上がり決死隊の活動を本格的に追っかけ始めたのは2005~6年から。かなり遅かった。

 

幸い、2000年代後半からTVバラエティの主軸がトーク中心になったのと、吉本が大規模コンテストを続々と立ち上げて所属芸人にハクを付けさせ始めていわゆる「お手盛り」を増やしたことで、所属芸人が相互にやりあって場を盛り上げる番組作りがしやすくなり、その代表的番組である「アメトーーク」の司会役を務めたことによって、雨上がりの二人のグレードが大きくジャンプアップしたのはTVバラエティ史的には見逃せないことだと思う。

そしてその関係性が、そのまま今回の芸人さんの大量謹慎・解雇の遠因にもなっているのではなかろうか。

 

数年前の「アメトーーク」で、MCの宮迫さんがひな壇の吉本後輩芸人から「地方局(ここでは名古屋のCBC)の番組は後輩に譲ってくださいよ」と言われたのに対し、「ちゃうねん、売れてない頃からずっとお世話になってんねん。要は関係性やねん」という旨の返答をしていたのを聞いた覚えがある。

関係性というのは、断つに断てないものなのかもしれない。

 

さて、シンプルな疑問として、今後雨上がり周辺はどうなるのだろう。

まず宮迫さん。上岡龍太郎さんや島田紳助さんという、過去に引退した関西芸人の系譜を考えると、先人二人がある程度功奏遂げた位置なのに対し、今回はまだまだ現役ど真ん中のケース。他に俳優業もあったはず。なので、普通に隠居→転職するとは思えない。個人的には近い将来、何らかの形で芸能界に復帰するのでは?と見る。その際ひょっとしたら、所属事務所は吉本ではない可能性もある。なんといっても、事務所からの報酬が満足するほど貰えていれば闇営業なんてハナからしなかったのだし、今回の引退宣言に際しても会社に対し「自分が謹慎する以上に本質は根深い問題」との思いがあっただろうから。

相方の蛍原さんは司会やピン仕事で頑張るのだろうけど、コンビの時にしか見せなかった突拍子もないボケを見る機会が今後減りそうなのは、心残りではある。

「アメトーーク」はあちこちで囁かれる通り、終わっちゃうんだろうなぁ。企画的にマンネリもあったとはいえ、「芸人ドラフト会議」や年末の「アメトーーク大賞」が見られなくなるのはかなり惜しい。他にも、どこか別の番組に移籍してでも見たい企画はいくつもあった。

 

気がかりなのは、芸人を目指していたという宮迫さんの息子さん。「べしゃり」のリスナーだった者にとっては、これが何より心配。

ちっちゃい頃ラジオで声を聞いてたんだよねぇ。ほとんど親戚のおじさんの心境。

(同日午後・追記)

午前中に記事を公開したあと午後から会見があり、宮迫さんが引退の意思が無い旨を発言したので、タイトルを「ギャラ兄引退」から「『ギャラ兄引退』報道」に変更しました。今後それ以外は変更しないでおきます。

(21日午後2時25分・再追記)

「ワイドナショー」の21日緊急生放送で、20日の宮迫さんとロンブー田村亮さんの記者会見を見た。当日のネット配信は見てないので完璧に正しい反応はできないけど、「ワイドナショー」での流した会見の模様でおおむねの要点は把握できた。またそのVTRを受けてのダウンタウン松本さんと東野幸治さんの見解も、じかに聞けたのはよかった。

 

吉本興業と所属芸人の関係に対する意見なんて、一視聴者の立場からすれば、ナリユキチュウモクのコンゴニキタイしか本来言えることは無いわけだけど、一番ベストな落とし所はどこになるか?というのはやはり気になる。

 

個人的には、「ワイドナショー」で松ちゃんが提案していた、吉本のトップランクの芸人さんによる事務所内子会社の設立が現実性が高いのではと思う。今挙手しているのが松ちゃんと明石家さんまさん、それにもう1人くらい加えて3派同時スタートにすればバランスがいい。

そして、それぞれの子会社が一つずつ小屋を持って、プロデュース興行するのだ。運営がうまくいけば所属芸人さんたちは収入になる。企画は各派のトップが知恵を絞る(たまに自分も出たりして)。

ちょっとAKBグループの発想にも近いが、事務所のトップスターに「支配人」という新たな役職を任命するというのは、巨大事務所ならではの展開として面白いと思うがどうだろう。

 

あ、もちろん、一定期間の謹慎は必要だと思いますがね。