ジャンプに落語マンガが連載開始

2月14日(月)発売の週刊少年ジャンプで、なんと落語がテーマのマンガ連載がスタートしたと聞いてビックリ。『こち亀』最終回の号以来久々にコンビニで買ってきた。

タイトルは『あかね噺』。原作・末永裕樹さん、作画・馬上鷹将(もうえたかまさ)さん。林家けい木さんが監修していて、巻頭カラー54ページと初回から読み応えたっぷり。

一読してまず感心したのは、ジャンプらしいコマの使い方と絵の見せ方。

落語の口演シーンを絵に描くということは、すなわちキャラクターの動きが座布団のサイズから出ないということで、動きが重要な少年誌のマンガでどう表現するんだろう?と危惧していた。しかしその予想に反して、大ゴマを上手に使って見てる者の気を高揚させるし、パースや角度を使って動きの見せ方を細かく工夫して、座布団に座りっぱなしのイメージを極力忘れさせようと努力している。大増ページの初回だからこそできた贅沢な演出なのかもしれないけど、落語マンガというジャンルに馴染みが無いであろうジャンプ読者を惹き込もうと思うなら、他のジャンプマンガ群と違わない、これくらいのビジュアルがちょうどよかった。

 

次に感心したのは、その馴染みの無いであろう落語世界の解説の入れ方。『大工調べ』や『芝浜』が演じられるシーンの中に、タッチを変えたイラストが入るのは「落語ディーパー」や「zabu-1グランプリ」といった近年のテレビの落語番組風の演出でわかりやすかったし、二ツ目落語家の父がヒロインの娘に落語界の身分制度を教える場面なども、それとない感じがしてよかった。どちらのパターンも次回以降多用されそう。

 

キャラクターの性格づけとか登場人物間の因果関係については、今後、回が進むにつれてどんどん明かされてくる部分もあると思うので、ここでは触れない。

あとストーリーの細かい設定(芸名・会場その他)については、長い落語ファンほど脳裏に浮かぶことが多いはずで、言いたいことが山ほどあるだろうけど、それは過去の落語を扱ったマンガ・ドラマ・映画・小説・演劇などすべてに対してそうだったと思うし、そのタイプの人は既にSNSで細かくツンツンやってると思うので、そちらに任せた。

 

何しろジャンプ読者が相手だから、ストーリー展開がドラマチック(とゆーか派手)な方に傾くであろうことは想像に難くない。だからこそ、数十年前に無くなった真打昇進試験制度がストーリー上の必須事項として行われていることも、ひとクセありそうな大御所師匠が受験者全員をいきなり破門しちゃうことも、ひとえに落語に馴染みの無い読者に向けた「わかりやすい展開」のため。ひいてはこのマンガが多くの読者に愛され、ここを起点に新規落語ファンが増えるため。古参落語ファンはそう心得て見守るべきかも。

よっぽど事実関係と違いすぎる内容が出てきた時は指摘すべきだとは思うけど、基本はあくまで平行世界の落語マンガ。私はこのスタンスで読んでゆくつもり。今までもそうしてきたつもりだし。

 

それにしても、まさか落語マンガがジャンプで連載開始する日が来るとはねー。

一応、私も末席のずっと末席のさらに端っこにいた時期が僅かながらあるので、感慨ひとしおではあります。いっぺんダメモトで落語マンガ企画を持ち込んでみよーかと考えた時期もあったんですけど、先に緑内障で無理が効かなくなっちゃったので諦めた。それだけに、今回の新連載に対して余計期待が増しちゃうのであります。目指せドラマ化。